名古屋高等裁判所 昭和62年(く)44号 決定 1987年12月04日
少年 T・K子(昭46.6.1生)
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告の趣旨及び理由は、少年が作成した抗告申立書に記載されているとおりであるから、これを引用するが、その要旨は、少年を中等少年院に送致した原決定の処分が著しく重く、不当である、というのである。
そこで、一件記録に基づいて検討するに、原決定が「保護処分に付する理由」として認定説示するところは正当であり、更に、少年は、原動機付自転車の無免許運転等をも反復していたものであり、しかも昭和62年10月15日ぐ犯及び道路交通法違反の各保護事件で原裁判所の試験観察決定を受けたのであるから、自重すべきは当然のことであるのに、右試験観察期間中にまたも、ぐ犯行状を重ねただけでなく、原動機付自転車の無免許運転等を敢行するに至つたものであつて、その行動には、極めて規範意識の欠ける点がうかがわれ、少年の要保護性については、決して軽視することが許されないということ、その他、本件の各非行事実の態様、少年のそれまでの行状、性格、行動傾向、生活環境、保護者の監護能力等の諸事情に照らすならば、原決定の処分はやむを得ず、これが著しく重く、不当であるとはいえない。論旨は理由がない。
なお、原決定認定の非行事実6と同7とは同一の非行事実を構成すると解するのが相当と考えられるところ、原決定は、これを2個の別個の非行事実としてとらえている点において、法令の適用の誤りなしとしないが、これが決定に影響を及ぼすものでないことは明らかである。
よつて、少年法33条1項、少年審判規則50条により、本件抗告を棄却することとして、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 山本卓 裁判官 油田弘佑 向井千杉)
〔参考1〕抗告申立書
抗告申立書
T・K子
右の者に対するぐ犯保護事件について、昭和62年11月18日中等少年院送致の旨決定の言い渡しを受けましたが左記の理由によって不服につき抗告を申立ます。
昭和62年11月25日
抗告申立人 T・K子
名古屋高等裁判所御中
私は、今回の審判について、抗告いたします。
2回目の審判で、少年院送致になった事については、何も言いませんが、今回2回目の事件については、長期になるような事は、してないと思うので抗告いたします。
2回目の事件は、家出と、スクーターの無免許運転です。
1回目の事件は、家出と多額金を無断で持ち出したことです。
1回目より、2回目の方が、ひどくは、ないと思います。
事件を2回もおこしたから長期になるのでしたら、おかしいと思うので、抗告します。